「IBDをお持ちの方が海外渡航で気を付けるべきこと」

海外旅行保険の仕事を長くされている、株式会社ウィズハートの代表の木代(きしろ)様に
「IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)をお持ちの方が海外旅行で気を付けるべきこと」について
寄稿いただきました。

海外現地で生活する際の注意事項

IBD患者の方が、留学やワーキングホリデーなど海外現地で生活する際には、特に以下の4つの点で注意が必要です。

①食事への配慮
②体調のコントロール
③薬を確実に服薬する
④トイレの配慮

順番に詳しく解説していきます。

食事への配慮

IBD患者の方が海外旅行や現地での生活で気になるのが食事です。

旅行中や移動中は外食が多くなりますし、海外渡航となると普段食べ慣れていない食材や料理が出てくることが想定されます。

非常食を携帯する、自炊をうまく活用するなどして、渡航先での食事管理を行いましょう。

滞在先では、ミニキッチン付きの部屋やコンドミニアムなどを活用し、自炊の選択肢を増やしておくのも良いでしょう。

体調のコントロール

寛解期であれば、普段の生活に大きな制限はなく、軽いスポーツや旅行先でのアクティビティも楽しめます。

ただし、無理をして疲労が残ると症状が再発する可能性があるので注意も必要です。

特に、時差のある国に行く場合は、睡眠不足にならないよう十分気をつけ、体調に合わせて予定を調整しましょう。

移動時間の長さや普段とは違う生活の緊張感などは、想像以上に疲労やストレスの元になります。余裕をもったスケジュールで無理をし過ぎないことが、上手な体調コントロールの秘訣です。

薬を確実に服薬する

IBDは人によって様々な症状が出るため、免疫調整薬からステロイド剤まで症状に合わせた服薬が必要です。

海外渡航では、移動時間が長かったり、時差があったりして、通常通りの服薬管理が難しくなるケースがありますので注意しましょう。

複数の薬の飲み分けが必要な場合は、種類や服薬時間の管理をきっちりと行う、服薬アプリを活用するなどして、治療に必要な薬を確実に服薬するよう心がけてください。

海外への薬の持参についての注意点は次で詳しく解説します。

トイレの配慮

フライトや海外渡航先でのトイレが心配だという意見もよくお聞きします。

まず、長時間のフライトとなる海外旅行では、航空機の座席はなるべくトイレに近いところを指定しましょう。

航空会社に事前に連絡をし、必要に応じてチェックイン時に航空会社に医師の診断書を見せて説明するなどして、なるべくトイレの近くの座席を用意してもらうようにしてください。

また、海外では日本ほど公衆トイレが充実していないところもありますし、衛生的に十分なところばかりとは限りません。

もしものときには、できるだけすぐにトイレに向かえるよう、あらかじめ旅行先のホテルや公共施設などの情報を調べておくと良いでしょう。

海外のトイレにはウォシュレットはほとんどありませんので、気になる方は携帯用のおしり洗浄器などを持参してください。

海外への薬の持参について

IDBIBD患者の方が海外渡航される際には、多めに薬を持っていくようにしましょう。

基本的には渡航期間に応じた必要量を確保していかれると思いますが、海外旅行では空港での荷物ロスや盗難などのリスクもあります。

渡航期間に合わせたギリギリの量ではなく、少し多めに準備をし、複数の荷物に分けて持ち込むようにしてください。

ただし、医薬品の持ち込める量は渡航先の国によって異なり、場合によっては医師の診断書や事前の許可申請が必要なこともあります。

国によって違いはあるものの、持ち込める服用量は最大1か月〜3か月までが一般的です。

入国審査に説明や書類の提出を求められる可能性もありますので、日本で医師の英文診断書や薬剤説明書を準備し、持参するようにしましょう。

【参考】海外現地で薬を確保する方法

留学やワーキングホリデーなど長期滞在となる場合は、現地での薬確保の方法をあらかじめ考えておきましょう。

たとえ日本で必要量を確保して準備していっても、荷物ロストや予定滞在期間が延長となるなどの不測の事態により、現地での薬確保が必要となるケースが想定されるからです。

海外現地で薬を確保する方法としては以下のような選択肢が考えられます。

・日本から国際郵便で送る
・家族や友人が現地に行くときに持ち込む
・本人が一時帰国した時に薬を確保する
・海外のクリニックで診察を受けて確保する

処方箋が必要な薬は、渡航前に、日本のかかりつけ医にオンライン診療での処方が可能かを確認しておくとよいでしょう。オンライン診療での処方が可能であれば、日本にいるご家族の方などに頼んで、処方薬を送ったり持参してもらったりすることも可能です。

また、現地でIBDを診てくれるクリニックを事前に検索しておくことをおすすめします。

以前、ご相談をお受けした潰瘍性大腸炎患者のお客様のなかには、現地で日本語対応ができ、同じ潰瘍性大腸炎の日本人患者を何名か診たことがある病院を見つけられたケースがありました。

お客様インタビュー「潰瘍性大腸炎の方のカナダでの薬確保や病院の探し方」
https://withheart.jp/hoken/travel-interview-ibd1

滞在先にもよりますが、日本人の滞在者が多い都市であれば、日本語対応の病院やクリニックがあります。

海外旅行保険には必ず加入しておくこと

IBD患者の方が海外に渡航される際には、必ず海外旅行保険に加入してください。

現在は世界的なインフレと円安の影響もあり、日本人にとっては医療費の負担がさらに重くなっています。

IBDのような持病がおありの方はもちろんのこと、今は健康で病気の心配がないという方でも、海外旅行中の急な体調不良やケガに備えるには、海外旅行保険の加入が欠かせません。

ただし、海外旅行保険加入時には、事前に健康状況などに関する告知が必要となり、IBDのような持病がある方の場合には、加入できる海外旅行保険は限られています。

特にインターネットで加入できる格安タイプの海外旅行保険は加入不可となっているところが多いです。

嘘・偽りの申告をしてしまうと、加入した保険自体が無効となってしまいますので注意してください。

渡航日数によっては、持病(IBD)の悪化・再発も補償してくれる海外旅行保険もあります。

出来れば海外旅行保険を専門に扱っている保険代理店にご相談されて加入されることをお勧めします。

弊社ウィズハートでも海外旅行保険を10年以上にわたって専門的に販売してきましたので、海外旅行保険でご心配事があればお気軽にご相談ください。

海外旅行保険のご相談はこちら。ウィズハートの海外旅行保険

https://withheart.jp/hoken/travel-insurance

まとめ

IBD患者の方が海外渡航される際に気をつけるべきポイントについて説明しました。

IBD患者の方でもいくつかの注意点に配慮すれば、海外旅行はもちろん、海外留学やワーキングホリデーに行くことも十分可能です。

事実、弊社ウィズハートでも実際にご相談をいただき、海外渡航された方が多くいらっしゃいます。

IBD患者の方が海外渡航される際には、英文診断書や薬の説明書の準備、海外旅行保険の手配、現地での食事・病院・薬の確保方法に関する情報収集など、渡航前の事前準備がとても大切です。

  • 普段から日常生活で服薬や食事など配慮されていると思いますが、海外だからこそ日本以上に気を付けるという意識を持つようにしましょう。

ご挨拶

株式会社ウィズハートの代表の木代(きしろ)と申します。

私は海外旅行保険の仕事を長くしており、そのなかで、IBDなどの指定難病をはじめ様々な持病をお持ちの方から「海外に渡航したい」というご相談を数多くお受けしてきました。

持病をお持ちの方でも海外渡航や海外チャレンジを諦めないで欲しいと常々思っており、今回はIBDをお持ちの方向けに「海外旅行・海外渡航で気を付けること」の記事を寄稿させていただきます。

弊社ウィズハートでも海外旅行保険を10年以上にわたって専門的に販売してきましたので、海外旅行保険でご心配事があればお気軽にご相談ください。

海外旅行保険のご相談はこちら。ウィズハートの海外旅行保険
https://withheart.jp/hoken/travel-insurance