厚労省及び国会議員への要請行動(報告)

国会・厚労省への要望活動

日時:2018 年 2 月 2 日(金) 10 時半から 15 時半
参加メンバー:萩原理事長(北海道 IBD)、秀島理事(佐賀 IBD 縁笑会)、花岡運営委員(かながわコロン)訪問先:厚生労働省健康局難病対策課 片倉響子課長補佐、神田純係長
国会議員(厚生労働委員)敬称略、順不同
衆議院議員:高鳥修一(委員長自民)、岡本充功(希望)、枡谷敬悟(公明)三ツ林裕巳(自民)、池田真紀(立憲)、高橋千鶴子(共産)
参議院議員:島村大(委員長自民)、石橋道宏(民進)、三浦信祐(公明)、 倉林明子(共産)、石井苗子(維新)、福島みずほ(希望)、小西洋之(民進)

上記のうち議員本人と面談できたのは高橋議員と倉林議員でそれぞれ30分近くお話しを聞いていただき、他は秘書に要望書を手渡した。
倉林議員との懇談の中で、今後軽症者が申請をしなくなって人数の把握が難しくなるという問題があるという我々の指摘に対して、レセプトからデータが取れるのではないかとのアドバイスがあった。(技術的に可能かどうかの検討が必要)また、高橋議員、倉林議員共に重症度分類や現行の自己負担額に対して問題視されていることを知ることができた。

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厚労省との主なやり取り(13 時半から 15 時 厚労省共用第 1 会議室)

(IBDN)要望書1.に関連して、2017 年 12 月
31 日以前に医療費助成の対象から外された人に対して、申請すれば診断名が記載された新書式での却下通知の再発行ができると厚労省通達があった。それ以外に医療費助成の対象者であったことを証明する証明書(旧書式にある証明書類)もあるという話を聞いたが(高橋議員より)本当か?
(厚労省)該当する患者から申し出があれば、対応するように都道府県に対して事務連絡している。

(IBDN)申請書のフォームはあるのか?
(厚労省)申請書というのはなくて、助成対象にならなくなった、非承認とされた書類を持って相談に行けば対応してくれるはず。窓口は申請をした保健所など。

(IBDN)それが対象者全員に周知されていればよかった。都道府県の担当者を集めて行う会議はいつか?
(厚労省)毎年2月に行っている(今月は 20 日に開催)

(IBDN)要望書3.にある軽症のため対象から外れた患者数、2つの特例患者数、中等症以上の患者数を疾患ごとに教えてほしい。通知書はすでに出されているので把握できるはず。
(厚労省)即答はできないので、検討させて欲しい。来週くらいに一旦その状況について報告する。
(IBDN)遅くとも年度内にはデータを出してほしい。

(IBDN)従来は疾患の全体像を把握することができたが、今回軽症者が外れることによって、できなくなってしまったと思われるが、今後どのような方法で把握しようとしているのか?
(厚労省)経過措置終了の前と後で、患者の追跡調査(アンケート)を研究班(西沢班)で行っている。

対象は56疾患で約1万人(分母は 70 万人)。1 万人のうち軽症で対象外となった人も、追跡調査対象とすることで制度変更前後を比較調査する。

(IBDN)難病手帳や軽症者証のようなものは作れないか。難病対策委員会で意見が出ていたが立ち消えている。県に軽症者証の発行をお願いしたら県レベルではできない。国から指示がないと難しいと言われた。また、市町村からは難病患者へ障害者の各種助成等の支援の拡大が進まない理由について、障害者の等級のどこに該当するか指標があればよいが、そういうものがないので難しいとも言われた。
(厚労省)問題意識はあるが。

(IBDN)要望書8.に関して。難病法を始め障害者総合支援法や障害者雇用促進法などの法整備 がなされてきたが、それらをすべて総合的に理解している人が支援者にも患者にも少ない。また難病対策は県がやっているが、難病患者の生活面を支える障害者福祉サービスは市町 村でやっている。しかし患者の個人情報の共有ができていないため、市町村からは地域に いる難病患者が見えづらい。
そこには制度上の問題があるようだが、なんとかならないか。その結果、市町村の障害者基本計画には難病患者の実態が反映されていない。
各種支援窓口がばらばらなので、ワンストップ型の窓口を作ってほしい。
難病相談支援センターがその役割かもしれないが、どこもマンパワー不足で対応が難しい状況。保健所の保健師がその役割を担うとしているようだがこれもまだうまくいっていない。患者への早期介入・予防的支援のためにソーシャルワーカーに診療報酬点数をつけて業務として行うことはできないか?
がんでは「治療と仕事の両立」を目指し、主治医と産業医の連携に診療報酬点数がつくということになったようで(来年度より実施)、2020 年には他の疾患にも広げるということだが、是非難病にも広げてほしい。
(厚労省)ソーシャルワーカーのみに診療報酬点数をつけるのは難しいと考える。「治療と仕事の両立」では、がんの次には難病の話も出てきているのでそれを実現したいが、課題もあると考えている。個人情報について、県と市町村の情報共有する方法の例として「災害対策基本法」がある。
しかし、これは災害時と記されていて、逆にそうでないときには情報共有ができないことになってしまっている。

(IBDN)指定難病申請時に患者から情報共有の同意をとれればいいのではないか?
(厚労省)患者の判断によるのでハードルは高い。また政令指定都市に難病対策がおろされるので、その場合は部署間の情報共有は可能だがすべての市町村となると難しい。
一つの方向としては、難病対策地域協議会がキーとなるのではないかと思っている。

(IBDN)難病対策地域協議会も実質的になかなか動いていない。開催されていない県も多い。 唐津市の場合 1 年に 1 回、しかも会議時間が 1 時間、これでは実質的な議論が難しい。またクローズドで行われていて、当事者は協議会に入っているが、それ以外の患者は 傍聴もできず、資料や議事録の公開も無いので他の患者が知ることができない。
(厚労省)国でも全国の協議会がどういうことをやっているかの調査はしている。

(IBDN)ワンスストップ型サービスの話だが、せめて難病患者に関係するサービス一覧を記載したパンフのようなものを作成することはできないか?
(厚労省)地域によってはそういうものを作っているところもある。

(IBDN)特定求職者雇用開発助成金の実績はどれくらいあるか?
(厚労省)現在手元に資料はない。担当部局に確認して、後日報告する。

(IBDN)ハローワークでも難病患者の就労支援の体制があるが、患者からはわかりづらい。
(厚労省)難病患者就職サポーターは全国で 50 人くらい。

(IBDN)佐賀では非常勤が一人しかいない。1~2年で変わってしまう。就労継続支援まではできていないと聞いている。
(厚労省)就労サポーターの育成という観点から、産業保健総合センターで、両立支援コーディネーターを来年度から実施する予定ときいている。(社労士、保健師などを想定)

(IBDN)難病法の見直しはどういう組織で行う予定か、スケジュールは?
(厚労省)疾病対策部会のもと難病対策委員会でおこなうことになるだろう。スケジュールまだ決まっていないがそろそろ動き出すだろう。

(IBDN)その際は難病法制定時のように必ず患者団体の意見を取り入れるヒアリングや意見交換会をやって欲しい。そのためにもスケジュールが決まり次第早く知らせてほしい。患者会はすぐに動けない。
(IBDN)高額療養費の限度額は所得区分があって階層別になっているが、指定難病の軽症者の高額特例は所得に関係なく一律33,330円となっている。これも所得によりいくつかの階層に区分して低所得層のハードルを下げて軽症高額特例の対象となるようにしてほしい。
(IBDN)要望書4.に関して、非承認になった人に対して 3 割負担は厳しいので、同じ難病患者なのだから何とか少しでも緩和できないか?
(厚労省)難病だから助成するということだと他の制度との整合性が取れない。軽症者でも負担が大きい人には助成しているので、そこは難しい。

(IBDN)重症度基準そのものが疾患によって患者の実感と違うところがある。もともとは治療選択の指標だったものがそのまま使われている。
(厚労省)その点については研究班および指定難病委員会で引き続き検討している。

(IBDN)薬を飲んだ状態で軽症になっていることを理解してほしい。
(IBDN)一旦軽症で対象から外れた後で、再燃して重症になった場合、再度申請するが、新規扱いになる。医療費助成は申請日からしか対象にならないので、申請するまでは入院もできないという人がいる。再燃した場合、すぐに高濃度の治療を行う必要があるが、申請していないとその医療費が高額になるという問題点がある。
(厚労省)その点は問題の一つとして理解しているが現状は法律に明確に書かれているので対応のしようがない。今後見直しの対象となるかもしれない。

(IBDN)要望書7.にも記載したが、別紙様式第3号が地域によってまだ徹底されていないようだ。
(厚労省)佐賀の難病連からの指摘で事務連絡を出している。また、指定医療機関の記載要領というのがあるのでそこに記載する予定。

(IBDN)指定医療機関の一覧表はあるが、疾患名での検索ができない。診療科名しかでていない。疾患名で検索できるようにならないか?
(厚労省)それは診療科名しか把握していないため、難しい。

以上